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2015-12-26 18:15:00

訪問をありがとうございます。

 

以前、どこかで『12月は自分を含めて振り返りながら1年の色々な物事をゆるす月』という言葉を読み、今月は1年を振り返りながら、様々なことを反省している私です。

 

明日は、義父の御墓参りに行ってきます。

 

皆さんは今年最後の週末をいかがお過ごしですか?

 

 

 

さて。

 

以前、紡ぐ会の宮﨑さんと話をしている時に、こんなことを言われました。

 

 

 

『俺たちだって毎日の生活に、目標を持って生きている人って少ないと思うんだよね。

 

今の介護保険、居宅サービス計画書を作るにあたって、ケアマネジャーはご利用者に目標を持てという。

 

様々なことを諦めたり喪失している人もいるだろうに、一方的に「頑張れ!目標を持て!」っていう制度はどうなんだろう?』

 

言われた時は、正直ピンとこず、『あぁ、そういう考えもあるんだなぁ』くらいにしか感じませんでしたが、先日、こういうことか、と思うことがありました。

 

 

 

退院後の支援から担当をさせていただいたご利用者ですが、この1年、『外を自分の力で歩くことができる』を長期目標に、毎日頑張っておられました。

 

退院後、自宅に戻れた嬉しさもあり、ご本人の意向は明確で目標設定もすぐに立つことができました。

 

支援としては、ご自身の取り組みを中心に、ご家族の支援と自宅内の環境整備・週1回の運動機会の確保(通所介護)です。

 

本当に頑張って機能訓練に取り組んでおり、自宅でも奥様と歩く練習を行っていたのです。

 

しかし、取り組みとは裏腹に、機能向上するどころか、無理をすると転倒を繰り返す状態で、結果、若干の機能向上はできているものの、ご本人の思う『自分のあるべき姿』には行き着くことができませんでした。

 

プランも何度か変更しましたが、それでも叶うことはできませんでした。

 

 

 

先日、介護保険の更新に伴いモニタリングを行った時に、ご利用者は悔し涙を流しておられました。

 

『退院して1年経ったんだなぁ。

 

自分の中ではもどかしさを感じながらも、母ちゃんに迷惑をかけないように、元気になれるように頑張ってきたんだけどなぁ。

 

若い頃から無理をして頑張りすぎたから、それがたたったんだよなぁ。

 

近所の知り合い皆からは、現状維持で十分と言われたけど、もう無理なのかなぁ。

 

歳だからと、諦めないといけないのかなぁ。』

 

 

 

本意ではない今の自分を受け入れなければならない辛さ。

 

その想いを静かに聴きながら、彼の心中を想像しました。

 

 

 

私が出会う前のご利用者。

 

戦後、家族の主として、しゃかりきに頑張らなければならなかった時代。

 

今まで家族の中で頼られていた自分。

 

それに応えようと頑張ってきた自分。

 

そして今。

 

頑張ろうとしても頑張れない自分。

 

それらの想いを淡々と、そして悔しそうに話すご利用者に想いを馳せる私。

 

変な表現ですが、とてもとても苦しく、胸が痛かったです。

 

そして、高齢者を支える私たちの仕事について、改めて、深く深く考えました。

 

 

 

自立支援・個の尊重・その人らしさetc

 

素晴らしい言葉がたくさんあります。

 

私たちはそれらを踏まえて、ご利用者・ご家族の意向を聴き、課題を確認して、今後の目標を立てます。

 

 

 

それらの言葉を『実践しているつもり』『わかったつもり』になって、安易に計画書を作ってはいけない。

 

『形だけ』で書面におこしてはいけない。

 

ご利用者の現状に至るまでの背景や役割・価値観、そういったものを一つひとつ丁寧に聴きながら、ご利用者自身に今後の生活を描いてもらうことの大切さ。

 

それを、できる限り忠実に書面におこす大切さ。

 

そして、その結果を一緒に振り返る大切さ。

 

そのことを改めて感じた出来事でした。

 

 

 

その後、アセスメントでご利用者の『今の状態』を確認しながら、新たな課題から目標設定を、一緒に考えさせていただきました。

 

この方は本当に強い方で、最近自分が嬉しいと感じていることから、自分自身で今後の課題と目標を立てることをできていました。

 

身体は現状維持でも、精神は確実に熟成されていることがよくわかります。

 

 

 

私は、計画書は必要だと思います。

 

その人がこれからの人生を歩む上で、目指すものを知り、その目指すものをチームで共有して支援するために、必要だと思っています。

 

同じ方向を向いて取り組むことが、最も効果的にゴールに到達できると思うから。

 

だからこそ、課題や目標の設定に際してご利用者の想いをきちんと理解して作成しているか?

 

そんなことを振り返った出来事でした。

 

そして、国から言われているから計画書を作るのではなく、『目の前のご利用者が望む生活を実現するために』どういう表現(言葉)を使って目標を立てて支援していくことが良いのかを考え抜くことの大切さを、改めて感じました。

 

 

 

どんなにたくさんのことを勉強しても、実践に勝る学びや気づきはないですね。

 

皆さんは、居宅サービス計画書をどのように立て、モニタリングを行っていますか?