2022-05-12 09:00:00

case1.下顎の無顆粒性メラノーマ

 11歳、避妊済みメスのジャーマン・シェパード・ドックの症例です。

 

下顎の左側に赤いできものがあったため来院されました。

 

できものを部分切除して病理検査に出したところ、無顆粒性メラノーマの疑いがありとの結果でした。

その後CT検査を実施しリンパ節も含めて明らかな転移所見がみられなかったため、手術にて下顎骨を切除することになりました。

こちらが手術前の様子です。

そしてこちらが術後の様子です。

手術後は痛みのコントロールを行いながら、流動食を開始。

手術で切除した下顎骨は病理検査に出し、骨浸潤は見られないという結果だったため、カルボプラチンという抗ガン剤治療とオゾン直腸法(1)、ルペオールの皮下注射を実施しました。

  

*ルペオール:キク科植物から分離されたルペン型トリテルペン。ステロイドに似た構造式を持ち、抗炎症作用、抗酸化作用、抗腫瘍効果があるとされている。犬のメラノーマと猫の扁平上皮癌で有効性の報告あり。

 

飼い主さんの献身的なお世話のおかげもあって、術後2か月で固形物も食べられるようになりました。

現在術後6か月ですが再発の兆候なく経過は良好です。