お塩ができるまで
豊かな自然が残る奄美大島
思わず見入ってしまう
エメラルドグリーンの海。
人々の暮らしに欠かせないお塩は
この海から採取されてきました。
塩小屋(マッシュやどぅり)の目の
前に広がる海は、資源の源です。
火入れ
一番大切な火入れ作業。
かつては流木を燃料にして
火を起こしていました。
現在は、木の廃材を利用し、
塩が完成するまで、
2〜3日間火は途絶えないよう、
薪を補充していきます。
丁寧に不純物やカルシウムをすくいとる
浮いてくる不純物や沈殿した
カルシウムの結晶を掬い取る作業
火入れをしてしばらくすると・・・
不純物を抱きかかえながら
結晶化したカルシウムが
沈殿してきます。
専用の用具を使い、攪拌しないよう
丁寧に掬い取る
単純な作業の繰り返しの中に、
熟練の技が光る作業です。
高純度のカルシウムが浮遊を始めると・・・
不純物を抱きかかえ結晶化した
カルシウムを取り除いていくと、
やがて表面に高純度の
カルシウムが浮遊しはじめます。
このころには、釜一杯に
満たされていた海水も、
3分の1ほどに蒸発し間もなく、
塩の結晶が始まります。
カルシウムの結晶
不純物を多く含み結晶化・
沈殿したカルシウム。
手に取ってみるとざらっとした
細かい砂のような触感です。
口にすると強烈なエグ味が感じられ、
また、にがりを多く含むため、
塩味と同時に苦みが広がります。
結晶化した塩
一昼夜釜炊きし、やがて海水の
濃度が20%を超えてくると、
塩(塩化ナトリウム)の結晶が
はでき始め、底に沈殿します。
このころになると、
立ちのぼる蒸気も少し薄く
コポッコポッと沸き立つ海水の
音も変わってきます。
熟練の職人技で釜の状態を見極め、
いよいよ塩をすくいあげる作業へ。
丁寧に塩を寄せる作業
ここにも熟練の技が光ります。
釜の底に結晶化して張り付いた
カルシウムをはがさないように
沈殿している塩だけを、丁寧に
寄せていきます。
塩のすくい上げ
結晶化した塩を専用の用具で
すくい上げる作業。
一杯一杯手作業で
すくい上げていきます。
水分(にがり)をふくんだお塩は、
しっとりとしています。
すくった塩を笊(ざる)に移す
奄美大島の方言で
「ばら」、「そけぇ」、
「そーけ」、「まぐぅ」
※各種呼び方あり
竹で編んだ笊(ざる)のこと
すくい上げた塩をざるに移し、
水分(にがり)を切っていきます。
しっかりと水分を切る
笊(ざる)に移された塩
しっかり水分を切っていきます。
笊(ざる)の底から滴る水分は、
天然のにがり
(塩化マグネシウムを多く含んだ液体)
にがりは豆乳を豆腐に変える
凝固剤としても使用されるほか、
入浴料としても利用されます。
この後、さらに水分を除去し、
手作業で不純物を取り除いて、
天然塩として商品になります。