かわら版
みのりの愛笑が歩んだ
「涙のアホベルトへの道のり」
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<10日ぶりのお風呂は極楽>
とにかく仕事を見つけようと思った私は、
ゴミ箱に捨てられている新聞を拾ってきて、
仕事探しを始めました。
そして、選んだのが衛生器具の取り付け会社でした。
酪農をしている農家のポットントイレの
換気口を変える仕事です。
1月8日、面接に行った私は、
ひげぼうぼうで臭い体臭を出しまくっていましたが、
担当者は何も言わずに採用してくれました。
住民票がない私を何も聞かずに採用してくれて、
しかも、寮とお風呂があるなんて、
「なんて幸運なんだろう」と思いました。
そして、お布団をもらって寮に案内されました。
「ここだから」といわれた所は、
仕切りの無い部屋に、
30人ぐらいがごろ寝をして暮している場所でしたが、
私にとってはとてもありがたかったです。
そして、10日ぶりのお風呂。
「極楽だ~ 最高だ~」と思いました。
あがってみると、身体を拭くタオルも
替えのパンツもありませんでしたが、
パンツはお風呂で洗って何とか済ませました。
そして、部屋に戻ってきたのですが、
ちょうど、会社の先輩達がポツリポツリと、
戻ってきるところでした。
挨拶をしようと思って、
目を凝らしてみてハッとしました。
「普通じゃない」
人相や格好がおかしい。
暴力団みたいな感じの人たちばかりなのです。
「一体、どんな仕事するのかな」と思いました。
<札幌の衛生局から来ました>
翌日は、ナンバーワンセールスマンに同行して、
仕事を覚えることになりました。
それが、実は詐欺商法だったのです。
まずは、札幌市郊外の酪農をしているお宅を訪問、
こんなウソを言って安心させます。
「札幌の衛生局から来ました」
「トイレに雨漏りの水が溜まりませんか?」
そして、点検をするといいながら、
点検している振りをして換気扇を壊します。
次に、「簡単な部品の取替えで雨漏りは大丈夫。
8000円で出来る」とか甘いことを言って、
結局は30万円のローンを組ませるのです。
私は、目の前で繰り広げられる光景を横から見ながら、
罪悪感で一杯になってしまいました。
泥まみれになりながら一生懸命働いている、
おじさん、おばさんを言葉巧みに騙すのです。
「一瞬でも早く帰りたい」
この姿を、お世話になった友人たちや家族に見られたらと、
思うだけで怖かったですし、騙されてローンを組んだ方に
申し訳なくてたまりませんでした。
私は、その日の夕方、会社にもどると、
そのまま、お風呂にも入らず、
荷物をまとめて辞めて来ました。
「私には出来ません。ごめんなさい。合いません」
誰も何も言いませんでした。
会社を出て、夕暮れの冷たい風の中を歩きながら、
「また、今日から車で寝るんだ」と思うと
無性に悲しかったです。
「田舎の人間が札幌に来ても、
まともな、仕事にはつけないんだな」
生まれて初めて、
お金が沢山欲しいと思いました。
<神がかりな女性オーナー>
その翌日、また、色々と仕事を探しているうちに、
今度は読売新聞の営業に採用されることになりました。
カプセルホテルで拾った新聞の募集広告を見て応募したのです。
採用が決まってホッとしている私に、
その販売店の社長はこんな事を言いました。
「この隣にある4階建てのビルの4階で
お花と着付けの教室をやっている女性がいるんだけれど、
誰が勧誘に行っても断られるんだよ。
彼女は、そのビルのオーナーなんだ」
誰が行っても契約を取れないなら、
どうして新聞を取ってくれないか聞いてみよう。
私は、なぜか、そう思って、
その女性を訪ねてみることにしました。
募集要項の「月収40-50万円も可能」という項目を、
鵜呑みにしていたので「ヨシ!」と、
張り切って出かけました。
行ってみると、
そのビルの4階はオーナーの自宅になっていて、
その一室で教室をしていることが分りました。
外から見ても、玄関の建具や飾りはかなり豪華で、
きっと金持ちなんだろうなと思いました。
私は、チャイムを押してインターホン越しに、
率直に、質問をぶつけました。
「どうして新聞を取ってくれないか、
教えてくれませんか?」
すると、お手伝いっぽい人が出てきて、
部屋へ通されたのですが、
そこは壁一面にどこかの宗教の祭壇のようなものがあって、
「そのまま待つように」と、言われました。
その祭壇の前で、
30分くらいだったか、
正座をして待っていると、
おもむろに、扉が開きました。
女性オーナーが現れたのです。
まるで、どこかの教祖のような格好の人でした。
そして、いきなりこう切り出してきたのです。
「色々あったんでしょ?」
そう言われて、なぜか、胸にグッときました。
もしかしたら、涙もにじんでいたかもしれません。
そして、私は気持ちを押さえ込めなくなってしまったのです。
聞かれてもいないのに、私は、
どうして田舎から逃げ出して
新聞の営業をすることになったのか、
全ての身の上を話しました。
彼女は話を聞き終えると、
こういいました。
「あなたが正座をして待っている様子を
ビデオで見ていました。
今の、あなたの話にウソはない。
新聞の勧誘なんて仕事は、
あなたがやる事ではないから、
今すぐお辞めなさい。
これから1年間、
私が新聞を取ってあげたら、
会社も許してくれるでしょう。
あなたには、もっと他に、
なすべき仕事があるはずです」
そういって、女性オーナーは、本当に、
読売新聞を1年間取ってくれることになったのです。
そして、私は、彼女の言うとおり、なぜか、
その1日だけで読売新聞を辞めてしまいました。
この人は神がかりな人かもしれないと素直に思ったのです。
さらに、不動産会社の人を紹介してくれて、
アパートの保証人にもなってくれたので、
住む場所も確保することができました。
かといって、
私は宗教に勧誘されることもありませんでした。
女性オーナーの行為は、
本当に純粋な親切だったのです。
私は、住民票を移せたので、
これで、札幌に仕事が見つけられるだろうとホッとしました。
ちなみに、遅くなったけれどお礼を言いたいと思って、
それから10年後にその女性オーナーに会いに行きました。
しかし、すでに彼女は亡くなっていて、
家もありませんでした。
妻のノンちゃんと一緒に3日間探したのですが、
結局、何の手がかりもありません。
今でも、すごく後悔が残っています。
「いやー、もっと早く言えば良かった。
もっと早くにお礼を言えれば良かった」
隣にあった読売の建物も、
女性オーナーの4階建ての建物も両方、
跡形もなく消えていています。
神隠しではありませんが、
本当に不思議な感じがしました。
あの女性との出逢いをきっかけに、
仕事も見つけられましたし、
人生が良くなって行ったので、
彼女は本当に人生の恩人です。
<つづく>
次回はこちら。
アホのチャンピオンベルト第11ラウンド~「あなたから買うなら値段は関係ないよね」
愛笑コメント
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中1の時のUFOといい、
私の人生にはなぜか、
不思議なことが起こります。
「涙のアホベルトへの道のり」
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<10日ぶりのお風呂は極楽>
とにかく仕事を見つけようと思った私は、
ゴミ箱に捨てられている新聞を拾ってきて、
仕事探しを始めました。
そして、選んだのが衛生器具の取り付け会社でした。
酪農をしている農家のポットントイレの
換気口を変える仕事です。
1月8日、面接に行った私は、
ひげぼうぼうで臭い体臭を出しまくっていましたが、
担当者は何も言わずに採用してくれました。
住民票がない私を何も聞かずに採用してくれて、
しかも、寮とお風呂があるなんて、
「なんて幸運なんだろう」と思いました。
そして、お布団をもらって寮に案内されました。
「ここだから」といわれた所は、
仕切りの無い部屋に、
30人ぐらいがごろ寝をして暮している場所でしたが、
私にとってはとてもありがたかったです。
そして、10日ぶりのお風呂。
「極楽だ~ 最高だ~」と思いました。
あがってみると、身体を拭くタオルも
替えのパンツもありませんでしたが、
パンツはお風呂で洗って何とか済ませました。
そして、部屋に戻ってきたのですが、
ちょうど、会社の先輩達がポツリポツリと、
戻ってきるところでした。
挨拶をしようと思って、
目を凝らしてみてハッとしました。
「普通じゃない」
人相や格好がおかしい。
暴力団みたいな感じの人たちばかりなのです。
「一体、どんな仕事するのかな」と思いました。
<札幌の衛生局から来ました>
翌日は、ナンバーワンセールスマンに同行して、
仕事を覚えることになりました。
それが、実は詐欺商法だったのです。
まずは、札幌市郊外の酪農をしているお宅を訪問、
こんなウソを言って安心させます。
「札幌の衛生局から来ました」
「トイレに雨漏りの水が溜まりませんか?」
そして、点検をするといいながら、
点検している振りをして換気扇を壊します。
次に、「簡単な部品の取替えで雨漏りは大丈夫。
8000円で出来る」とか甘いことを言って、
結局は30万円のローンを組ませるのです。
私は、目の前で繰り広げられる光景を横から見ながら、
罪悪感で一杯になってしまいました。
泥まみれになりながら一生懸命働いている、
おじさん、おばさんを言葉巧みに騙すのです。
「一瞬でも早く帰りたい」
この姿を、お世話になった友人たちや家族に見られたらと、
思うだけで怖かったですし、騙されてローンを組んだ方に
申し訳なくてたまりませんでした。
私は、その日の夕方、会社にもどると、
そのまま、お風呂にも入らず、
荷物をまとめて辞めて来ました。
「私には出来ません。ごめんなさい。合いません」
誰も何も言いませんでした。
会社を出て、夕暮れの冷たい風の中を歩きながら、
「また、今日から車で寝るんだ」と思うと
無性に悲しかったです。
「田舎の人間が札幌に来ても、
まともな、仕事にはつけないんだな」
生まれて初めて、
お金が沢山欲しいと思いました。
<神がかりな女性オーナー>
その翌日、また、色々と仕事を探しているうちに、
今度は読売新聞の営業に採用されることになりました。
カプセルホテルで拾った新聞の募集広告を見て応募したのです。
採用が決まってホッとしている私に、
その販売店の社長はこんな事を言いました。
「この隣にある4階建てのビルの4階で
お花と着付けの教室をやっている女性がいるんだけれど、
誰が勧誘に行っても断られるんだよ。
彼女は、そのビルのオーナーなんだ」
誰が行っても契約を取れないなら、
どうして新聞を取ってくれないか聞いてみよう。
私は、なぜか、そう思って、
その女性を訪ねてみることにしました。
募集要項の「月収40-50万円も可能」という項目を、
鵜呑みにしていたので「ヨシ!」と、
張り切って出かけました。
行ってみると、
そのビルの4階はオーナーの自宅になっていて、
その一室で教室をしていることが分りました。
外から見ても、玄関の建具や飾りはかなり豪華で、
きっと金持ちなんだろうなと思いました。
私は、チャイムを押してインターホン越しに、
率直に、質問をぶつけました。
「どうして新聞を取ってくれないか、
教えてくれませんか?」
すると、お手伝いっぽい人が出てきて、
部屋へ通されたのですが、
そこは壁一面にどこかの宗教の祭壇のようなものがあって、
「そのまま待つように」と、言われました。
その祭壇の前で、
30分くらいだったか、
正座をして待っていると、
おもむろに、扉が開きました。
女性オーナーが現れたのです。
まるで、どこかの教祖のような格好の人でした。
そして、いきなりこう切り出してきたのです。
「色々あったんでしょ?」
そう言われて、なぜか、胸にグッときました。
もしかしたら、涙もにじんでいたかもしれません。
そして、私は気持ちを押さえ込めなくなってしまったのです。
聞かれてもいないのに、私は、
どうして田舎から逃げ出して
新聞の営業をすることになったのか、
全ての身の上を話しました。
彼女は話を聞き終えると、
こういいました。
「あなたが正座をして待っている様子を
ビデオで見ていました。
今の、あなたの話にウソはない。
新聞の勧誘なんて仕事は、
あなたがやる事ではないから、
今すぐお辞めなさい。
これから1年間、
私が新聞を取ってあげたら、
会社も許してくれるでしょう。
あなたには、もっと他に、
なすべき仕事があるはずです」
そういって、女性オーナーは、本当に、
読売新聞を1年間取ってくれることになったのです。
そして、私は、彼女の言うとおり、なぜか、
その1日だけで読売新聞を辞めてしまいました。
この人は神がかりな人かもしれないと素直に思ったのです。
さらに、不動産会社の人を紹介してくれて、
アパートの保証人にもなってくれたので、
住む場所も確保することができました。
かといって、
私は宗教に勧誘されることもありませんでした。
女性オーナーの行為は、
本当に純粋な親切だったのです。
私は、住民票を移せたので、
これで、札幌に仕事が見つけられるだろうとホッとしました。
ちなみに、遅くなったけれどお礼を言いたいと思って、
それから10年後にその女性オーナーに会いに行きました。
しかし、すでに彼女は亡くなっていて、
家もありませんでした。
妻のノンちゃんと一緒に3日間探したのですが、
結局、何の手がかりもありません。
今でも、すごく後悔が残っています。
「いやー、もっと早く言えば良かった。
もっと早くにお礼を言えれば良かった」
隣にあった読売の建物も、
女性オーナーの4階建ての建物も両方、
跡形もなく消えていています。
神隠しではありませんが、
本当に不思議な感じがしました。
あの女性との出逢いをきっかけに、
仕事も見つけられましたし、
人生が良くなって行ったので、
彼女は本当に人生の恩人です。
<つづく>
次回はこちら。
アホのチャンピオンベルト第11ラウンド~「あなたから買うなら値段は関係ないよね」
愛笑コメント
======
中1の時のUFOといい、
私の人生にはなぜか、
不思議なことが起こります。




