Welcome

議会質問&会派取組

2017-09-07 13:10:00

≪木造建築物密集地域の防災について≫

 

◆松波謙太議員

 

 議長のお許しをいただきましたので、通告書に従い、一問一答方式で質問させていただきます。

 

 まず、質問番号1の木造建築物密集地域の防災についてお尋ねいたします。

 

 全国的に木造建築物が密集した地域を危険区域として指定し特別の消火計画を策定しているのは、全国の消防本部の4分の1にとどまることが、総務省消防庁の調査でわかりました。

 P9072752.JPG

 昨年12月に新潟県糸魚川市の市街地で起きた大規模火災を受け、消防のあり方を検討している同庁の有識者会議に、本年3月調査結果が示されました。

 

 全国773の消防本部を対象にアンケートを実施したところ、策定しているのは174本部、24%で、内容として、密集地域に消火栓や貯水槽を多く整備したり、管轄する消防隊に高性能の消防車の配備などをしていました。

 

 一方、管内に木造建築密集地域がないと答えた10本部を含む残りは策定しておらず、策定していない消防本部の約半数は財政難や人材不足を理由に挙げています。

 

 同庁によると、計画策定はこれまで各消防本部の独自の判断に委ねられていました。

 

 大規模火災被害に遭った糸魚川市消防本部は、一部では策定されていましたが、今回の大火が起きた地域は対象になっていませんでした。

 

 このように、気象条件も一つの要因ではありますが、木造住宅が密集し細い街路が多く、公園などのオープンスペースの少ない密集市街地は大都市圏を中心に存在し、地震時等では家屋の倒壊や大火の発生、さらには消火、避難、救助活動のおくれなどにより重大な被害を受ける可能性が極めて高く、早急な整備改善が課題であります。近い将来、発生が想定されている東海・東南海・南海地震でも恐らく火災は住民の命を脅かすと懸念されています。

 

 1995年に発生した阪神・淡路大震災当時は、ほぼ無風で延焼スピードも時速40メートル程度でありましたが焼死者が約500名。

 

 関東大震災では焼死者が約9万人で、これは台風が近くにあり秒速10メートルの風が吹き、火災が拡大した結果でした。

 

 地震時には大規模火災が起きやすい場所が生まれ、地震によって出火しやすい環境、延焼しやすい環境が生み出されると言われています。

 

 大阪府防災都市づくり広域計画では、東南海・南海地震や上町断層系等の大規模地震の発生の危険性が高まっており、震災対策の見直しもされつつあります。

 

 大阪府自然災害総合防災対策検討委員会の被害想定によると、府内に存在する活断層において、阪神・淡路大震災と同等程度の直下型地震が発生した場合、時刻や気象の条件によっては、上町断層系で約4万棟、生駒断層系で約9万棟に及ぶ建物が焼失するおそれがあるとされています。

 

 これは阪神・淡路大震災における焼失棟数4,674棟にあったことに対し、その8倍から20倍もの規模に及ぶとされています。

 

 また、南海トラフ巨大地震による強い揺れや巨大な津波に大規模な火災が発生し、近畿地方において約39万棟が焼失すると想定されています。

 

 こうした大規模地震時の市街地大火による延焼被害を都市構造の面から抑制するために、都市計画上の指針となる大阪府防災都市づくり計画が策定されています。

 

 市街地における建築物の不燃化を進めることであり、また延焼遮断帯の整備、広域避難地の確保など、広域的な都市防災施策であります。

 

 その第2章、都市防災に関する現状と課題として、不燃領域率算定結果において、本市浜手と中手にかけ、地域の都市防火区画整備率評価が低く、都市レベルの延焼危険は府内の近隣市よりはるかに高くなっていることが示されています。

 

 この都市防火区画整備率の評価は、道路幅員、耐火率、空き地から五つのランクに分類され、延焼危険度をあらわしています。

 

 そこでまず、本市の危険度の高い2ランクから5地域はかなり広域にわたっていますが、本市のどの地域なのか、まずお尋ねいたします。

 

 

 

◎都市政策部長

 

 本市の都市防火区画整備率の危険度が高いレベル2からレベル5までの区域は、府道大阪臨海線から国道170号、大阪外環状線までの市域の全域です。

 

 

 

 

 

◆松波謙太議員

 

 はい、ありがとうございます。

 

 この危険ランク度を踏まえ、次に、先ほどから申し上げております大阪府防災都市づくり計画の現状と課題について、本市にも大きく関連する木造建築物密集地域の防災について質問をしてまいります。

 

 本市には、老朽化した木造建築物が多数存在しています。

 

 居住者自身の高齢化や複雑な土地権利関係、狭小敷地等の問題に加え、狭隘道路が多い現状です。

 

 また、延焼遮断帯の軸となる道路の必要幅も16メートル以下の道路も数多く、避難路としての問題も抱えています。

 

 本市には、特に都市防火区画整備率が60%未満の区画の広がりが見られ、市街地大火を防止するために優先的な取組みが必要です。

 

 防火、準防火区画率地域の指定等による建物自体の不燃化促進や、狭小地の建てかえ促進もあわせて検討し、地区レベルで災害危険度に応じた防災対策を検討する必要があります。

 

 本市として、この都市防火区画整備率60%未満の地域への防災対策について、見解をまずお聞かせください。

 

 

 

◎都市政策部長

 

 本市におきましては、都市防火区画整備率60%未満の地域への防災対策として、延焼遮断機能となる都市計画道路等の整備により都市防火区画整備率の改善を図ることとしておりますが、整備に時間を要することから、用途地域を変更する際に準防火地域を指定し、災害に強いまちづくりを推進してまいりたいと考えております。

 

 

 

 

◆松波謙太議員

 

 ありがとうございます。

 

 準防火地域ということで、新しい施策にも取り組んでいただけましたら、市民の安心・安全なまちづくりにつながると思います。

 

 次に、広域避難地の現状と課題についてお尋ねいたします。

 

 広域避難地は、地震大火においても避難者の安全が確保できる規模を要するオープンスペースであることが必要とされています。

 

 これまで、関東大震災の経験等により、10ヘクタール以上の公共空き地が必要とされていましたが、現在では耐火づくり、準耐火づくり、防火木造の建築物の割合が高くなり市街地が燃えにくくなったことを受け、地震災害時における避難所を必要な機能があれば10ヘクタール未満の空き地でも避難地として指定することが可能となっています。

 

 本市においては、青少年運動広場、1.5ヘクタールだけが指定されていますが、距離的な問題と避難地数を考慮すれば、広い公的な運動場や民間施設の指定活用も必要と考えますが、本市のお考えをお聞かせください。

 

 

 

◎都市政策部長

 

 本市におきましては、火災発生時の一時避難場所として、青少年運動広場、市民ふれあい運動広場、福田公園、水間公園と市内各小・中学校、貝塚高校、貝塚南高校の運動場の計22箇所を指定しており、民間施設を含め、広域避難場所を新たに指定することは、現時点では考えておりません。

 

 

 

 

 

◆松波謙太議員

 

 広域避難地としては指定されておりませんが、大火時に避難地として学校の運動場や、公園を一時避難地として使用できることが市民の方にわかれば、近隣の住民として一つの安心につながると思いますのでよろしくお願いいたします。

 

 次に、避難所の名称についてお尋ねいたします。

 

 避難所は身を守るために避難する場所であり、地域住民の集合場所、待機場所である一時避難所、自宅などが危険な状態で生活ができないときに避難し寝泊まりする施設で、市民福祉センターや市立小・中学校の指定避難所、指定避難所での生活が困難とされる高齢者や障害者が2次的な避難施設の福祉避難所、人口が集中している地域において、大規模火災などによる熱や煙から一時的に避難されるための避難場所としての広域避難場所、そのほかに津波の避難場所としての緊急的に避難する緊急避難場所があります。

 

 しかし、地域の方々からは、どのような災害時にどこへ避難すればよいのか尋ねられることがあります。

 

 この避難所の名称を具体的な名称をつけて、住民が見たり聞いたりしただけでその内容がわかる避難所名であるべきと考えます。

 

 例えば、一時避難所は近隣集合場所、学校等の指定避難所は避難生活所、広域避難場所は緊急防火避難場所、緊急津波避難所等へ間違いなく避難できるよう、名称の変更も検討すべきと考えます。本市のお考えをお聞かせください。

 

 

 

◎都市政策部長

 

 避難所の名称につきましては、国や大阪府など関係機関との認識を統一する必要があること、また名称を変更することにより、かえって市民の皆様が混乱を来す可能性があることから、名称の変更については考えておりません。

 

 なお、それぞれの避難所の役割につきまして、市民の皆様に正しく理解していただけるよう周知啓発に努めてまいりたいと考えております。

 

 

 

 

 ≪既存民間建築物の耐震基準調査内容と防火構造改修補助制度について≫

◆松波謙太議員

 

 ありがとうございました。

 

 市民の方々には、緊急時には迷うことなく避難できるよう周知もよろしくお願いいたします。

 

 次に、質問番号2番の既存民間建築物の耐震基準調査内容と防火構造改修補助制度についてですが、まず耐震基準の調査内容についてお尋ねいたします。

 

 本市では、地震による家屋倒壊から住民の命や財産を守るために、昭和56年5月31日以前に建てられた住宅または特定建築物について耐震診断の補助金を交付し、積極的に耐震診断を進めています。

 

 この調査内容なんですが、平成28年、熊本地震では、昭和56年5月以前の旧耐震基準によって建てられた木造住宅に大きな被害があったとともに、新耐震基準導入後の昭和56年6月から平成12年5月までに建てられた木造住宅にも一定の被害があったことが確認されています。

 

 この原因として、柱とはりとの接合部の接合方法が不十分であったことが指摘されています。

 

 本市の耐震診断補助制度を平成12年5月以前に建てられた木造住宅にまで引き上げ、柱とはりとの接合部の診断も組み入れることがよりよい耐震診断につながるものと考えます。

 

 本市の耐震診断の引上げと今後の調査内容についてお尋ねいたします。

 

 

 

◎都市整備部長

 

 本市では、まず、新耐震基準導入前になる昭和56年5月以前に建てられた住宅に対して、耐震診断や耐震設計、耐震改修を積極的に進めていきたいと考えております。

 

 なお、議員ご指摘のとおり、熊本地震において、新耐震基準は満たしているものの、平成12年5月以前に建てられた住宅と、それ以降に建てられた住宅とでは、被害の状況に差異があったと承知しております。

 

 そうした事実については、今後市民の皆様にも周知してまいりたいと考えております。

 

 

 

 

 

◆松波謙太議員

 

 ありがとうございます。熊本地域で被害結果が出ているというのは確かなので、新しい耐震診断を一刻も早くできましたらよろしくお願いいたします。

 

 次に、防火構造改修の補助制度についてお尋ねいたします。

 

 平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災では、家屋の倒壊や火災の発生などにより多くの人が亡くなり、貴重な財産が失われました。

 

 神奈川県相模原市では、過去の地震災害の経験を踏まえ、地震対策を支援するため、旧耐震基準で建築された戸建て住宅を自ら所有し住んでいる人を対象に、耐震診断から耐震改修工事にあわせて実施する建物の延焼防止のための防火構造改修工事に対しても助成制度を設けています。

 

 震災時の火災については、老朽木造住宅地などが密集する地区の倒壊等により、消防力を上回る延焼火災が発生し、被害を大きくすることが予測されます。

 

 南海トラフ巨大地震に備える上で、建物の耐震化だけでなく、都市の不燃化の必要性も高まっています。

 

 本市として、耐震改修補助制度に防火構造改修補助をあわせることで、大規模地震災害の減災へとつながるものと考えますが、本市のお考えをお聞かせください。

 

 

 

◎都市整備部長

 

 先ほど申し上げましたとおり、本市においては、まず新耐震基準導入前に建てられた住宅の耐震対策を積極的に進めていきたいと考えております。

 

 

 

 

 
≪用水路等の転落防止対策について≫

◆松波謙太議員

 

 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 

 とにかく、減災へ。防火は絶対。延焼は地震ではよく起こっていますので、とにかく減災へつながるように、ご検討よろしくお願いします。

 

 次に、3番目の用水路等の転落防止対策についてお尋ねいたします。

 

 近年は、農業事情の変化により、農業用地に住宅が建てられ、工場や事業所も建ち並び、田んぼの周辺は一昔前とは違う表情となっています。

 

 住宅とともに車両の通行量も増加し、歩行者は道路隅へ追いやられ、安全対策がされていない生活道路沿いの用水路では、転落の危険性が危惧されています。

 

 また、農業用の水路は、田植えから収穫の時期まで絶えず水を使っており、日常から水路沿いの生活道路を通行している小さい子どもやご年配の方には大変危険な場所になっています。

 

 全国の用水路で2015年では68名の方が亡くなられています。

 

 ため池が多く、同様に用水路の距離も長い岡山県では、平成25年から27年の3年間で、用水路の転落事故により1,143件もの消防局の出動件数がありました。

 

 これは通報による出動件数であり、実際にはそれ以上の用水路転落事故があったと推察されます。

 

 本市行政としても、子どもたちを事故から守るために、危険な場所を警告する看板設置やホームページにより、子どもたちから目を離さない、また保護者同伴、危ないとの声かけ、安全点検と安全対策を徹底させましょうとあります。

 

 そこで、まずお尋ねいたします。用水路に関しまして、地域から危険だと判断され、何らかの安全対策を要望されたことがあると思われるのですが、ここ数年来、改善への申請をされた内容的なもの、そしてその後の改善策などについてお尋ねいたします。

 

 

 

◎都市整備部長

 

 市道沿いの用水路に関する市民の皆様からの相談内容は、議員ご指摘のとおり、転落を防止するための安全対策に関するものが多いです。

 

 こうした相談があれば、職員が現地を確認し、関係者と協議を行った上で、必要に応じて転落防止柵の設置や注意喚起の看板の掲示等の安全対策を講じることとしております。

 

 

 

 

 

◆松波謙太議員

 

 安全対策、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

 現状において、農地の宅地化が進みまして、用水路の周辺に住む人がふえたことが事故率が高くなった要因でもあると思います。

 

 用水路には、国、都道府県や市などが管理するような比較的規模の大きなものから、土地改良区が管理するような小さなものまでさまざまなものがありますが、それぞれの特性や必要に応じて管理する団体や住民などが対策を決めていくことになると言われています。

 

 全国で用水路は40万キロメートルにも上るとされ、全ての用水路に柵やふたを設置するといった対策は現実的ではありません。

 

 危険度の高いところから順に安全対策を実施し、危ない場所に近づかないよう促すといったソフト面の対策もあわせて進めていく必要があります。

 

 新潟県では、水路転落事故で死亡した方は、2005年から2014年までの10年間で87人。このうち77人が安全施設がないところが原因とされていました。

 

 事態を重く見た新潟県は、水路の危険箇所がどこにあるのかを調査し、その結果、2005年から2014年にできた616の新興住宅地の2割近くにあたる住宅地の116の水路で安全対策が必要であることがわかりました。

 

 県は、水路を管理する土地改良区に危険な場所を示した地図の配布を初め、地元住民との話し合い、対策をとるよう呼びかけました。

 

 行政、自治会、水利組合、農業関係者、保護者が一体となり、安全対策を講じる手だてを見出すことや、住宅販売業者へも生活道路の安全性への責任を果たす義務を持たすことが安全の確保への一歩と考えます。

 

 本市においても、水路転落事故例が仄聞されている中で、痛ましい事故にならないよう、危険箇所についてどのような安全対策を講じておられるのかお尋ねいたします。

 

 

 ◎都市整備部長

 

 本市では、毎年、市内11小学校区の通学路を中心に、市道の危険箇所の点検を行っています。

 

 また、毎年3月と9月には、教育委員会を含む本市職員と貝塚警察署員が合同で、通学路の総点検を実施しております。

 

 これらの点検を踏まえ、適宜、安全対策を実施しているところでございます。

 

 

 

 

 

◆松波謙太議員

 

 安全対策といえ、小学校の通学路ということをお聞きしましたら、やはり危険箇所は地元の方々が一番よくご存じだと思うのですが、地元の声はどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。

 

 

 

◎都市整備部長

 

 地元の方々といつも協議しまして、皆様と一緒に考え安全対策を講じているところでございます。

 

 

 

 

 

◆松波謙太議員

 

 次に、行政の用水路の転落に関しての速やかな対応についてということでお尋ねいたします。

 

 過去に、新興住宅地内の生活道路沿いの用水路に子どもが転落したのですが、世帯数の少ない振興住宅地にとって、問題解決への相談窓口がわからなかったり、町会、自治会との接点が少ない中で、問題解決への方向性の道筋がおくれがちになることがありました。

 

 住民の方々から安全対策として我々何人かの議員に相談がありまして取り組んだ経緯がございます。

 

 町会組織や水利組合、住宅住民の方々の互いの言い分を聞き、また伝えの往復に時間を要したことで、解決までに数年を費やしました。その間に2人目の子どもが転落し、速やかな対応、安全対策ができなくて大きく悔やまれました。

 

 幸いにも、2人目の子どもも軽傷で済んだようでした。

 

 行政として、最初の転落事故の報告を受けた時点で、素早い対応が望まれると思います。

 

 担当課として事故後の早急なる取組みが必要と考えますが、行政として同地点で同じ事故を繰り返さないための安全対策についてお尋ねいたします。

 

 

 

◎都市整備部長

 

 本市において、可能な限り速やかに再発防止、安全対策を実施してまいりたいと考えております。

 

 

 

 

 

◆松波謙太議員

 

 今後とも宅地開発が進んでいくと思います。

 

 危険箇所の安全対策を行政が率先して進めていただけるようお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。