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議会質問&会派取組
2017.2.13地方議員研修~海老名市.pdf (0.6MB)
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報告1 「地方創生のためにいま議員ができることin東京」
① 「役所を動かす質問の仕方」について
実施日 平成29年2月13日
平成29年2月13日 午前9時30分頃、東京都中央区八丁堀1-9-8八重洲通りハタビル(アットビジネスセンター)へ到着。
午前10時より、元廿日市市副市長であり自治体経営コンサルタントの川本達志氏が講師を務め研修が始まりました。
まず自治体のマネジメントサイクルについては、住民が起点となって議会(議員)や首長などの要望へつなげ回答する事が大切であり、プランに政策提言を載せるために如何に一般質問を行うかが大切である。
質問に際し「市民」がどこに存在するかを意識することも大切であり、それは執行部が自身に有利に動いてしまう傾向があるためで、そこには役所は「つぶれない」という意識もある。
さらに議会は市民の目には見えやすいので「市民の声」を伝えるスタンスをとることが大切である。
一般質問は個人として動ける議会の場であり、市民と理事者とをつなぐ場でもあり、成果を出さないと議会に対する批判はなくならない。
とはいえ、一度の質問のみで政策を実現することは不可能であり積み重ねも大切である。
理事者の思いの中で質問を実現するために議員も動くことができるのか?という思いは必ずある。そのなかでどのように関われるか(関わっていいのか悪いのかも含め)考えて質問すべきである。
また市役所はマスコミなどが騒ぐことも予想され失敗が許されないところであり、理事者によっぽどの問題意識がない限り動きにくい性質を持っている。裏を返せば如何に問題意識を持たせるような質問を行うかが大切である。
首長にとって支援派・ニュートラル・反対派によって立ち位置も変わり、反対派であればより説得力のあるものでなければ動かない傾向もみられる。
議員は市民ニーズを吸い上げるのが大きな役割の一つである。理事者は今ある制度を守るのが仕事で議員は制度を変えるのが仕事。市民ニーズの中に政策提案できるかどうか気づく事が大切であり本当に気づけているか自問自答が大切。
議員は行政のすべての分野を掌握するなんて不可能。財政と組織は必須として勉強はしないといけないがそれ以外は特異な分野を一層磨きをかけることも重要である。
住民ニーズの中から政策提案があることに気づけば質問が多くなるのは当たり前である。
役所内のマネジメントリサイクルに乗せるには共感(現状・課題認識)→理解(仮説・検証・提案)→行動(期待される効果)という流れで質問することが大切。
しかし、仮設だけ質問しても意味は全くなく、出来るだけわかりやすく質問しないといけない。
理事者に気づかせるためには共感を持つような質問を考えるべきであり、批判からは共感は決して生まれない。
しかし、本当に批判しないといけないときは徹底的に批判する(時には意識的に)。
AIDMA(アイドマの法則)を意識することも大切である。
(参考)
A:Attention(注意)
I:Interest(興味、関心)
D:Desire(欲求)
M:Memory(記憶)
A:Action(行動)
現状認識を述べるときは「数字」を活用し物語を構成する事が大切である。理事者は省庁のデーターを活用する事が多いし、よほどの事がない限り一番有効なデーターは省庁発表のものである。
しかしe-StatやRESASなどを活用してデーターを用いた質問を行う事が重要である。
時に理事者の認識があいまいな事があるがそれでも情報の正確さを担保にした質問が必要となってくる。
質問には自治体の守備範囲内で行う事が大切。案外当たり前だと思うが逸脱した質問がある場合も多い。
現状のルールで解決できない事を発見し、改善させる。しかしそのために現状のルールを知っておく必要がある。
現状のルール(正確な現状認識)を把握するためには係長に問い合わせることが一番。担当事業のノウハウを一番理解しているのが係長のはずである。
また質問に際し、かかる費用(予算)をどのように捻出するかも検討が必要である。
継続しての質問が大切であり、あらかじめ先を見据えた質問計画を考えておくことも重要である。
しかし同じ質問を繰り返すことが大切だと言っているのではなく、たとえば1回目は「調べてみませんか?」2回目は「結果からどのように進めることができると考えられるか?」と同じ内容でも次につながる質問を行う事が大切である。
時としては「怒り」をぶつるけることも効果はある。理事者は「知っていないだろう」と考えていると思った方がいい。緊張関係は大切である。
質問は「プレゼン」感覚で誰もがわかるように質問する。共感を呼ばないと「人」は動かない。
仮説段階での他団体の受け売りは仮説にはならないが、検証段階で他団体の事例を述べるのは効果があり提案につなげればよい。
パブコメを否定はしないがどの自治体もほとんど集まっていないのが現実ではないか。そう考えると理事者より議員の方が当事者や住民の意見を聞きやすい立場にある。理事者(職員)にはできない事である。
かかる費用の捻出については、スクラップ事業(成果の出ない、見えにくい事業の廃止・縮小)の提案や基金の取り崩し、人件費削減等提案しながら行う。財源を考慮しない提案はプロの仕事ではない。
まとめると、住民要望→一般質問(課題提示・現状把握提案)→調査→意見交換(住民他)→一般質問(現状認識・仮説等)→調整→意見交換(住民他)→一般質問(仮説・検証・提案)→実現という流れを意識する事が重要。
本来一般質問は個人質問の要素が高いが、議会総意としての一般質問を目指すことも大切でないか。
全国の市町村議会の中で全ての議案ではないが、特化した問題が発生したとき、一般質問であっても議会全体の総意として進める事の出来る仕組みづくりもすすんでいる。
これらを参考にして各自治体で取り組みを進めていただきたい。とご講演いただきました。
新政クラブこれまで多くの質問を行ってきました。これまでの事も一度振り返り、今後よりよい、分かりやすい、実現に向けて今回の研修内容を踏まえて進めていきたいと考えています。
報告2 「地方創生のためにいま議員ができることin東京」
② 「防災、減災と議員の役割」について
平成29年2月13日 午後2時より引き続き川本達志氏が講師を務め研修が始まりました。
冒頭「雨の降る確率何パーセントで傘を持って出かけますか?」その問いかけで、降水確立50%なら傘を持って出かける参加者が大半でした。
そんな中で今後起こりうる東南海大震災等の確率は30年の間で70%から80%で発生するといわれている中で準備・予防は進めなければならない重要であることが述べられ講演がスタートしました。
まず、震災発生時には議会としての対応は非常に難しく「予想を超える」「想定外」の事態が発生することが大前提である。
議会として主体的にどうかかわれば良いのかという視点を絶えず持っておく必要がある。
東日本大震災での被害は20,000人。しかし南海トラフ巨大地震での想定被害は人的被害で95万人を超える予想である。
(2016年台風10号の岩手県岩泉町グループホーム被害の例を参考に)大災害が起こると執行部は迷う。「避難準備情報」という言葉の意味すら理解できていない住民(施設側)があった。
また執行部(ここでは町)も避難勧告を出さなかった。
町長が町内を巡回し「異常なし」と判断したが、所詮は素人。絶対に判断してはならないし、専門家の判断に任せるべきである。
それらの教訓から、予防がまず一番大切である。防災計画・施設の点検・訓練・避難計画の策定等絵に描いた餅にならないように日頃からの準備が大切。
地域防災計画を熟読する必要がある。それぞれ自治体によって対応もまちまちだが地域性を大切にすべきである。ただし「想定外」は絶対に起こるので意識する事が大切。
災害計画にある「避難」の判断基準を如何につくられているのかを議員自らも頭に入れておくことが重要である。
あわせて「防災計画」に書かれてあることが現実的なもかどうか見つめなおす「検証」は必要である。
広島県の住民アンケートによると「避難勧告」「避難指示」「避難準備情報」の違いに対する理解で「初めて知った」と答えた方は41%に上る。
この数字を見た時、行政の啓発方法、議員が対住民に対して常に意識してこの言葉を伝えることも重要である。
また市が被災した場合のBCP計画の策定は非常に重要である。
昨今「自主防災組織」が各地で組織されてきた。阪神淡路大震災時に救助された方の中で「自力で34%」「家族に32%」「友人・隣人に28%」「通行人に3%」となっており、地域社会の繋がりの中で救助された方が多数を占めている。そうした意味からも「自主防災」の視点は重要である。
庁舎の耐震・建て替えも災害対応の一つである。新築か否かは別として、災害につよい庁舎作りに取り組まないといけない。
防災対応も時代とともに変化している。防災対策本部を常駐する意義もある。庁舎内に部屋を確保する自治体も増えてきた。
また案外市役所職員は避難訓練を行っていない。業務を中断してでも全庁舎対象の避難訓練を行うべきである。
「釜石の奇跡」と「石巻の悲劇」を教訓である。釜石の小中学校は日頃から避難訓練を行っていた。東日本大震災時にはその訓練が最大限生かされ、津波から避難できた。一方石巻市では避難訓練は行われていたが、津波を想定した訓練は行われていなかったために多くの被害が出たことを教訓にすべきである。
さらに、震災発生時は、まず「逃げる」を徹底すべき。減災の最大の取組みは「逃げる」である。これは職員、市民、議員、いずれもまずは「逃げて」「命」を守ることを先決すべきである。「家族も必ず逃げている」と信じて行動すべきである。
学校園で児童生徒向け防災教育と教師職員向け防災教育を区別することも大切である。
「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」など過小評価してしまい逃げ遅れの原因となる可能性も大きく、子どもと大人では違う教育も必要である。
また最後に、議員の役割として住んでいる地域の災害の歴史を認識することが大変重要。歴史は繰り返すという言葉があるように歴史の中で防災・減災に役立つ手法が見つかる事が多いと述べられ講演は終了したしました。
報告3 神奈川県海老名市「緑タクツアーinえびな」について
実施日 平成29年2月14日
平成29年2月14日 午前9時45分頃、神奈川県海老名市勝瀬175-1海老名市役所へ到着。
海老名市議会事務局参事兼次長兼庶務係長事務取扱の安齊准子氏のお出迎えを受け、同議会事務局長の鴨志田政治氏の歓迎のあいさつをいただき、「緑タクツアーinえびな」についてご説明いただきました。
説明いただいたのは、海老名市経済環境部商工課長兼にぎわい振興係長の中込明宏氏、同にぎわい振興係主査の立花清美氏、同市財務部企画財政課政策経営係長兼公共施設マネジメント準備室長の石田恵美氏の3名でした。
まず、「緑タクツアー」は「にぎわい振興事業」の一環として行われた事業の一つです。
海老名市では「にぎわい条例」を制定し町おこしの取組みが進められています。その経過はこれまで「観光協会」に委託されていた観光事業を市の委託金の依存度が高い状況であったため、会員アンケートなどを実施し発展的解消しました。
観光協会解散を受けて新しい環境資源、にぎわい振興を進めようと市民・行政・観光関係に精通する大学教授・マスコミなども参加し「えびな元気なにぎわい振興計画」が策定されました。
今年度は実証実験として「えびな親子買い物ミステリーツアー」を開催しいちご狩りや農産物の購入、工場見学など一部は催しを公開して募集したものの「ミステリーツアー」の名称の通り「参加してみないとわからない」というまさにミステリーを思わせるような企画が大盛況のうちに終了したようです。
「緑タクツアー」についてはこの事業の大人版として12月に開催されました。
参加者31名で20代から40代の参加申し込みがありました。
参加費は男性8000円、女性7000円であり、いわゆる「ひやかし」参加者は少なかったように思えるとの事でした。
このツアー時、県出身の芸人の方にお願いし、場を盛り上げたり工夫されています。
結果5組のカップルが成立しました。
財源については、かかる費用の半分が参加費で残りは市の負担。
この事業についはこれまで周辺3市(座間市・綾瀬市)で行っていた「3市婚活支援セミナー」の参加者や民間の結婚案内所などにも呼びかけられています。
セミナーでは3講の講演が行われ婚活につながればという思いも強いように感じられました。
今回は他市からの参加も半数くらいあったのですが、町おこし、にぎわい振興の一環として行われているこの事業の結果、海老名市への定住促進が図られればと考えているようです。
しかし、婚活を行政で行う事の賛否もあり今後についてはアンケートの結果や実証実験の成果その他のにぎわい振興という視点で検討していきたいとのことでした。
質疑応答の中でタクシー会社の協力も触れられ、タクシー運転手が海老名市の名所の説明できるように教育されているとの事でした。