ごあいさつ

お知らせ

2018-01-01 15:28:00

パナホームと住生活・デザイン研究所が、2011年6月7日~8日に55~65歳の男女を対象に実施したインターネット調査によると、妻の不安や心配事の1位から10位は以下のようになったそうです。
(参照URL:http://www.panahome.jp/kurashi/report/02/

1位:加齢による身体の衰え(66.4%)
2位:いつまでも病気やケガなく、健康でいられるか(59.6%)
3位:収入がなくなること(38.4%)
4位:配偶者に先立たれ、孤独になること(29.6%)
5位:配偶者の在宅時間がこれまでよりも長くなること(20.8%)
6位:生きがいや目標が失われないか(13.6%)
7位:資産や所有地、建物管理ができるか(12.8%)
8位:家事の分担や協力ができるか(協力してもらえるか)(12.2%)
9位:不安に感じることはない(9.8%)
10位:夫婦間の会話を楽しめるか(7.8%)

 

皆さんの不安や心配はどうですか?

私は30年あまり看護師をしてきましたが、私が新人だった頃忘れられないこんなことがありました・・・

5年間ほど癌で闘病生活をしておられた男性のAさん。

疼痛管理、酸素療法などを必要とするぎりぎりまで自宅で過ごされ、いよいよ容態が悪くなり、ここ2~3日がヤマかな・・・という時点で、入院してこられました。

Aさんは、もう家には帰れないということを悟っておられるように穏やかに過ごされていました。付き添い中の妻はAさんのそばで取り乱すこともなく、優しく静かに見守っておられました。

妻はもしものときの心の準備はできていると話され、Aさんもまた残していく妻の身を案じているが思い残すことはないとおっしゃっていました。

なぜこんなに落ち着いていられるのか新人看護師だった頃の私にはわかりませんでした。

しかし話をしているときにその謎が解けました。

Aさんは、

「先生から癌って言われたときに、あとどれくらい生きられるのか聞いたからね・・・よかったと思う。

精一杯生きたよ。

交通事故なんかで死んでしまうと突然だから妻も混乱すると思う。

心の準備もできないし・・・

お互いにゆっくりお別れができないから・・・

その点僕は癌でよかったと思うよ・・・

癌って言われたときに2人で腹いっぱい泣いたね・・・

そしていっぱい話した。妻の為に準備もしたよ・・・

すべて財産も何もかもきちんと整理をしてきたから思い残すことは何もない。」

とおっしゃいました。

 

病院で過ごされた最後の時間、2人の間には信頼とお互いを思う静かな時間がゆっくりと過ぎていました。

その後、Aさんは妻の介護に感謝し旅立っていかれました。

 

妻と話をする機会を頂いたとき、

「結婚してから夫は事業を営み、苦労させられっぱなしでした。

夫の病気が分かったとき自分は元気でいなければ・・・と思いました。

夫は少しだけど財産を残してくれました。

若いころ苦労した分を帳消しにするものだから・・と言ってくれたんです」

と話してくれました。

 

子供を授からなかったこの夫婦は、Aさんの死後の生活のことをきちんと考え、Aさんが亡くなった後の生活費、財産、物の処分、相続に関する諸手続きや、葬儀やお墓の段取り等考えておられていました。

まだまだ「終活」という言葉さえなかった時代に、これこそが見事な「終活」であろうと思いました。

夫らしい最期を看取ろうと頑張った妻、妻の今後を思いやる夫、自分たちの将来をしっかり見据えて夫の死後おひとり様になった妻のことを考えているなんて、なんと素晴らしい夫婦でしょうか。私が忘れることのできないエピソードです。

病院

 

2016年5月、世界保健機関(WHO)が発表した世界保健統計2016によると、日本人女性の平均寿命は世界第一位であり、日本人男性は世界第6位という結果でした。

日本人女性の方は長寿世界一なので、残念ながら統計上、妻が夫の介護を経験する確率が高いと思われます。

妻が夫を介護する期間は〔妻の健康寿命-夫の健康寿命〕なので74.21歳-71.19歳=3.02歳、 夫が年上であれば夫婦の年齢差を足す、妻が年上であれば夫婦の年齢差を引くと大まかに夫を介護する期間がわかります。例えば夫が3歳年上の夫婦の場合 3.02歳+3歳なので6年余りは、妻が夫に対して何らかの介護を要する期間となります。

 

しかし「夫の介護は私がしなければいけない」と一人で気負う必要はありません、

たった一人で夫の介護をすべて行うのは所詮無理!しかし、介護を放棄するわけではありません。「私が中心になって、みんなで協力してもらって介護する」くらいの気持ちで・・・どっしり構えましょう!

介護保険制度など社会全体で高齢者を支える仕組み作りがありますので、この難局をどうすれば、夫も自分も幸せなのか最善の方法を探りながら、ハッピーに過ごしましょう。時には介護のプロの協力を得て、私ができる精一杯の介護は笑顔で接すること。介護者が元気であることがいちばん。そう考えることが大切です。

ポイントは3K:(がんばるぞーと)気負わない・(一人で介護を)抱え込まない・(日々の生活を)変えないこと、が上手く乗り切るポイントです。

 

反対に妻が夫の介護を気にせずに、自由に趣味を楽しめる期間は一体どのくらいでしょう?

キャリアウーマンの皆様は今おいくつですか?

女性の健康寿命74.21歳-夫を介護する期間-定年時年齢=平均的に女性が自由にセカンドライフを楽しめる期間とでも言っておきたいと思います。

仮に62歳で仕事を辞めるとすれば3歳差の夫婦の場合6年余りの期間になります。

この期間をどのように過ごすのか?・・・それはアナタ次第です!

 

まずは“今後の私”のために楽しみながら夫婦で終活を初めてはいかがでしょうか?

今回は、統計データを元に老後に関するお話をさせて頂きましたが、最近では、介護を受ける期間を短くするために「健康寿命を延ばす」という取り組みも増えています。看護師としての経験を踏まえ、また別の機会にこのテーマについてご紹介させて頂きます。

 

【この記事を書いた人】

荒木ゆかり
荒木ゆかり
1961年生まれ
終活ライフケアプランナー
エンディングノート書き方セミナー講師
看護教員(准看護学校 教務主任を経験)
看護師(唐津赤十字病院 病棟師長を経験)
ケアマネージャー

准看護学校の教務主任や看護師として約30年間勤務。
多くの看護学生の教育にあたるとともに、看護師時代約250名の看取りに寄り添った経験から終活の大切さを痛感。
培った「死生観」を含めもっと多くの人たちに終活の重要性を伝えたい、と終活ライフケアプランナーの資格を取得。
老親の介護をしながら、家族を思う心に優しく寄り添うことを理念とし「さくら美添」として活動している。 
出典先http://oyanokaigo.jp/archives/263