昔の畳の価格

 畳縁は身分の証、したがって縁がなければ高価な畳ではありません。
 畳が現在と同じように「床」「表」「縁」からなる形になったのは平安時代(西暦八百年代頃)で、
部屋に敷き詰めて使われ始めたのはそれから実におよそ六百年もの後、室町時代(西暦千四百年代頃)と推測されています。

 永享十一年(西暦千四百三十九年)京都の東寺にかかわる文献でみると、
畳床の値段は表替えと新畳の値段の差額から見て160~200文程度
(現代では1文=20円ほどとすると3,200円~4,000円)ではないかと思われます。
表替え値段は大文で800文、小紋で400文、上高羅で300文~350文、
布高羅で800文では90文~190文等の額が記録されています。
つまりは布高羅を除けば畳床より「縁」「表」の方が高価で縁の模様材質によって、もっぱら価格が決定されたようです。
 当時の畳職人の日当が100文~110文ということで、畳がかなり高級品であったことが窺える文献です。
平安絵巻等で見る貴人が座るのは重厚ですが、室町時代には部屋に敷き詰めるようになったとはいえ、
高価な敷物には違いなく貴人の座としての性格を持っていた、
この為各所に敷かれる畳の中で特に高貴な人が座る縁の柄が身分の高さを示す所謂サインとして使われていたものです。

 現代の畳は縁がなければ手間がかかり高価になり藁床を使えばこれも価格に影響、同じ畳でも今昔ずいぶん違いますね。