建築3 木 

建築材について

学名Chamaeyparis Obtube  ヒノキ科ヒノキ属

木の王様『桧で造る家』おすすめです!

桧は本州東北南部から四国、九州の温帯に分布します。その南には台湾ヒノキもあります。有名な産地は木曽、尾鷲、吉野、紀州等々。埼玉では西川桧があります。

名前の由来は『火の木』と言い、昔この木を使い、火をおこした事による。また、『日の木』・『良い木(良い=ヒ)』と言い、尊い最高のものを表す『日』を当てた事からもきているようです。建築材料としての桧は、古くは一万年前から使われていたようです。桧は土台、柱、梁等の構造材や、床や壁などの内装材、また、浴室内や家具、建具等にも適し用途が多く切削加工がしやすい素直な木です。赤黒い色から、白色まで、産地により様々な色があります。触ると杉などよりは冷たいですが、温かみや艶があります。香りは独特で多くの日本人に好まれています。

この桧は長い間粘り強さを保ちます。建立百年の法隆寺からもわかるように、切ってから1000年経った桧と切ったばかりの桧は同じ強さを持っているとは不思議です。それは、伐採してから大気中で常温という低温加熱処理を受けることで、結晶化が起こり、二、三百年まで強さが2,3割増していき、その後長い年月をかけて、ゆっくりと下降していくのです。堅い広葉樹は当初桧の数倍強さがありますが(欅は2倍)木の組成分であるセルロースの老化が速く(欅は5倍)数百年で強度が逆転してしまいます。歴史的建築物も桧で造られたものが多く、厳しい自然環境に打ち勝ち、現存しているのです。長い間粘り強い木材を先人は知っていたのです。桧は年数を経ても一皮むけば刺激的な香りがすぐさま立ち込め、まさに生きている証を一瞬にして現わします。木の王様『桧で造る家』おすすめです!

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西川材

埼玉県産の優良木材『西川材で造る家』

おすすめです!

埼玉県南西部に連なる奥武蔵の山並み。この私たちが住む場所と同じ環境の下で切り出される杉や桧。昔その地域の山で木を育て成長し、木材として使える大きさになると木を伐り、その木で家を建てていました。いわゆる地産地消ということです。

現在では、輸入材を使っての家づくりが多いようですが、地域の木材を使うことで、山や川などの自然環境の保全、地域経済の活性化や人々の結びつき、様々なエネルギー消費量や二酸化炭素排出量の低減、強いては地球環境全体に良い影響を与えます。そして、日本の優れた木の文化。歴史を伝えたいものです。

名前の由来は、江戸時代川を利用し筏により木材を江戸(東京)まで運んでいたことから、『江戸から見て西の方角から川で運ばれてくる良質の木材』ということで『西川材』と呼ばれるようになりました。

この地域は、褐色森林土に覆われ、平均気温13℃、平均降水量1800mmと桧や杉の生育に適しています。木材は年輪が詰まっていて、節が少なく強度が高い事が特徴で、色つやも良好です。埼玉県産の西川材は優良木材です。おすすめです。

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葉枯らし1.JPG 西川材.JPG   

上の写真は材木屋さんと一緒に飯能の山で、木の伐採に立ち会った時のものです。緑の山にチェーンソーの音が響き、大木が切り倒されていく、急な斜面で足場も悪く、一本数百キロにもなる重い木を扱うのは非常に危険で、木こりの苦労がよくわかりました。木が倒れていく音は迫力があります。同時に数十年生きてきた木が一瞬にしてその生命を絶たれていくのを目の当たりにすると悲しい思いが突き上げてきます。だからこそ、この木を大切に長く使っていかなければいけないと強く感じました。建築により木に第二の人生を。

 

古材 

歴史を感じる『古材を生かした家づくり』

おすすめです!

おおよそ戦前に建てられた住宅、納屋や蔵等の柱や梁として使われていた良質な木材で、桧、杉、松、栗、欅等が多い。その時代は地産地消の建築が行われていたことにより、材種は地方によってそれぞれに特徴があります。その地域ごとで、手に入る木材の特徴を生かしながら、上手に建築していたようです。

古材に触れて感じることは力強く、安心感があり、空間に現れると本物が持つ年期や存在感に圧倒されます。古民家を解体し取り出した時は、汚れていて、重くて、大変ですが、洗い磨いているうちに愛着が湧いてきます。また、昔の技術が学べるとともに、物や自然を大切にする気持ちが強くなります。数が少なくこれからどんどん減っていく古材を大切にしていきたいものです。かまどや囲炉裏の生活の中、長い時を経て煤けて黒ずんだ木材は、かけがえのない宝物です。最近では古材に似せるように化学素材で技巧を施すものもありますが、年季の入った本物とは違います。深みというか厚みのある質感、歴史を感じます。当社では古材を使った空間をご提案いたします。下小屋で加工し、手間暇かけて磨きます。古材を通じて木の強さや安らぎ、そして、歴史ある日本の木の文化を感じてほしいと思うからです。その他、ベンガラや柿渋などの自然素材を使ったり、時には竹林に入り竹を切り出し加工したものを生かした空間づくりの提案も致します。

そして、環境についていえば木材は1㎥で230㎏の炭素を蓄えます。15㎝角の古材の柱一本を約0.07㎥とすると、この古材は約16㎏の炭素量を蓄えます。これを焼却すると、約59㎏の二酸化炭素が発生してしまいます。これは、5.6本のブナの木が1年間に吸収する二酸化炭素量と同じです。古材の再利用を心掛け、二酸化炭素の発生を抑え、環境に良い生活を推進したいものです。

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ハーマン・E・デイリーが『再生可能な資源を供給源の再生速度を超えることなく利用することが、大切だ。』と提唱したように、建築に使える木が育つまで先代の木材を大切に使うことも必要と思うからです。昔は木材の流通や強制乾燥の技術も乏しかったことで、ごく普通に立てる場所と同じ環境で育った木材を自然乾燥させて家づくりをしていました。そこには、『シックハウス』という言葉や『自然との共生』と敢えて唱えることのないごくあたりまえのことでした。 

 

 

乾燥について  

木の乾燥方法

木材の乾燥方法は天然乾燥と人工乾燥があります。 天然乾燥は屋外で雨に濡れて湿気をおびたり、太陽に照らされ熱によって水分が蒸発したりを繰り返し、自然に木材を乾燥させていくものです。乾燥の仕方には屋内で雨がかからないようにしたり、風をあまりあてないようにしたりする方法を採用している材木屋さんもあり、いろいろその地域・ 環境・経験等によってさまざまです。どちらにしても木材をきちんと桟積みをして木材から蒸発した湿気を風に乗せて取り除く仕組みです。

天然乾燥は木材の乾燥に半年から数年かかります。ゆっくりと自然に乾燥が進むため、木材が傷まず粘りのある強い木材になると同時に、色や艶がきれいに変化していきます。特に大黒柱等の太い木材は人口乾燥では内部まで乾燥しない為、天然乾燥によって、背割りや割れ止めをほどこし、曲り、反り、ねじれ等をおさえながら、じっくりと長い時間をかけて乾燥させていきます。 人口乾燥(強制乾燥)は室内で人工的に急激に乾燥させるものです。低温・中温・高温乾燥や燻煙乾燥・高周波乾燥等々・・・さまざまな種類や方法があります。乾燥時間はとても短く、乾燥力にすぐれているのが特徴です。

乾燥方法はさまざまで、どのような木材をどう使うのかによって変わりますが、木で家をたてるのであれば・・・・・、木と本当に向き合うのならば・・・・・、なるべく天然乾燥による木材で、できる限りの時間をかけ、ゆっくりと木造建築を進めるべきであると考えます。 今の家造りは工期がとても短く、工業製品を扱うのと同じように木材をとらえてしまっているように思えます。木材(木)の良さ、使い方を、家造りを機に考えてみてはいかがでしょうか。  

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木の乾燥状態

木の内部を見てみると自由水と結合水があります。 自由水とは木の細胞間を満たしている水分、 結合水とは木の細胞壁の中を満たしている水分です。

 

生木状態 


自由水と結合水・含水率30%以上 ずっしり重い

切ったばかりの水分を多く含んだ木です。 この状態から初めに自由水が抜けていき、重さのみが段々と減っていきます。一概には言えませんが、おおよそ立木の時は含水率150%、切り倒した後の葉枯らし乾燥で50%程度です。

 

繊維飽和状態 


結合水のみ・含水率約30%  ねばり強く

ここから自由水が無くなり(繊維飽和点)、結合水が抜けていくと反り、割れ、捻じれ、ひびなどの現象、寸法の変形が起こります。又、乾燥と同時に木材の強度も段々と増していきます。  何故変形するのか?というと木材の変形は乾燥の順序などによる他、木にはくせがある事によります。立木が山の急斜面か平らな場所か、山の南面か北面か、密集していたか等、生育していた状況(育った環境)によりその環境に合わせ、耐えて(順応して)一生懸命生長する為、その力が木の内部に貯えられます、そして木が製材し形を変えられると、その力(くせ)が安定しようと動き出すからなのです。しかし、このくせが非常に大切で、このくせを見極め適材適所に利用し、木を組む事が強い構造体を造り上げます。

 

平衡状態 


結合水のみ・含水率約15%  呼吸する木 

この状態は木材が置かれている外気の温度と湿度に合わせ、水分を吸ったり吐いたりし、外気と水分の出入りを無くし平衡を保ちます。よく言われる木の調湿機能はこの平衡状態を保とうとする働きによるものです。湿度が高い時に水分を吸って室内のじめじめをとり、逆に乾燥しているときは水分を放出して室内の乾きを和らげます。特別な仕掛けも無く自然に備わったもので、本当に良く出来ていると感心します。

 

全乾状態 


自由水結合水無し・含水率0% 現場の勘

自由水はもちろん、結合水も無くなる状態です。これは自然発生する事ではなく、特別な事をしなければ0%にはならず、潤いが無く脆く、弱い状態です。実際に木材を担いだり触って加工したりする人は、これらの変化や乾燥状態を体感し覚えてます。強くて粘りがあり、くるいの少ない材木を使いましょう。

 

木の腐敗

水分と言えば、木が腐るということに触れましょう。木が腐るとは、水分・酸素・湿度・養分の4条件が揃い、木材に腐朽菌が発生し、木の成分を分解することです。木を長持ちさせるには4条件が揃わないようにすることです。中でも、手っ取り早いのは水分をコントロールすることです。20%以下に抑えれば可能です。又、雨などに濡れて含水率が20%以上になっても、すぐ腐朽菌が発生するわけではないので、すぐに乾かせる使い方をすれば良いのです。ただし、小口面や表面割れ部分は乾きにくいので注意が必要です。その他の酸素と温度(約3以下50以上なら可能)は人が住む環境を考えるとコントロールしにくく、養分は木材自体が持っているものなので無理です。やはり、水気に注意することが重要です。

又、腐りにくい木と言えば、材種によって、さまざまな耐腐朽菌がありますが、フェノール性成分を多く含む桧、ひば、栗等は腐りにくいと言えます。 ただし周りの白い部分(白太)ではなく、中心部に近い部分(赤身)に限ります。その他腐朽菌が多く発生する暑く湿った地域の木材でウリン、イペ、セランガンバツ等の外材もあります。適材適所!適した部位に上手に使い分けることが大切です。

建築を考えるとやはり昔から言われるとおり、雨じまい(雨水)や水道配管等(湿気)の計画が重要だと思います。木は腐るから木の家が長持ちしないという事ではありません。木の特性を知っているか、いないかによります。逆に最後には腐朽菌によって腐り、自然に戻る自然素材という事も又、大切なのではないでしょうか。  

 

温もりについて 

五感で感じる木の良さ

木が鉄やコンクリート等と絶対的に違うのは、木は人間と同じ生物であり、有機物であるということです。木は人類が生まれるずっとずっと前から、この地球に存在している大先輩。自然の中で生まれ、虫に喰われたり、割れたり、腐ったり…微生物に分解され、やがて土に還る。人間と同じです。自然の産物である木を人間は本能的に五感で「優しい」と感じるのかもしれません。目で、鼻で、手で、耳で、口で触れ、安心するのかもしれません。だから思うのです、木で家を造るのが良いのだと。 

 

視覚 目 ながめていても 優しい                              CIMG4533.JPG

 木が目に優しいのは、表面の凹凸や木目に秘密があります。 木目はご存知のように年輪という成長記録によって造られます。太さ、間隔、方向等は不規則で、人工的に作られたもののように画一的ではありません。その結果、光が木材に直接当たっても光をいろいろな方向に反射分散し人間の目にとって優しい光となるのです。反射率で言えば、約50~60%。ちょうど目に心地よい数値。また、木には紫外線を吸収する特質もあります。サングラスをかけて目を守るように、自然がつくり出す木は私達人間の目に優しい。まさに、木の成せる技です。

 

嗅覚 鼻 ほのかな     香りでアロマ                     IMG_1627.JPG

桧や杉に含まれる精油成分であるフィットンチット(木が傷つけられたり、微生物の攻撃に対し木が放出する揮発性の物質)はストレス解消や、血圧、脈拍数を抑える効果があります。森や自然素材の空間にいると、自然と深呼吸をしたくなるのは、体が求めているものが、木材に含まれているからではないでしょうか。桧、杉、かや、ひば等の針葉樹にはそれぞれに何ともいえない良い香りがします。心が落ち着きます。これら植物の芳香成分を利用して、身体的、精神的そして美容に良い効果を導き出す、まさにアロマテラピーで心身ともにリラックスしますね。

 

聴覚 耳 響く音も     静かな空間                                    CIMG2611.JPG

残響音も長すぎず短すぎず。木材で覆われた空間は静かで安らぎを感じます。木材は樹種や部位により、堅いものから柔らかいものがあり、それぞれに違いがありますが、総じて物を落としたり、ぶつけたりした時の音の響きはコンクリートや鉄とは違う柔らかみのある音になります。普段、家にいる時はあまり意識をしませんが、長い目でみると、生活の中で「音の環境」はいろいろと人間に影響を与えることでしょう。木で作った空間は自然の音です。

 

味覚  なかなかの味   恵みの木                           CIMG1710.JPG

木の皮を剥ぎ取って、内側のやわらかい部分を食す場合もありますが、基本的に木材を食べることはありません。しかし、木の実や種はご存知のようにいろいろな味、形や色があります。甘いもの、すっぱいものやにがいもの、いろいろな味がします。もちろんそのまま食べられますが、少し手を加え、ジャムやゼリー等も作れます。又、いろいろな効用のある薬にもなります。その他顔料として色を付けたり、油分で水をはじく効果、灯りを燈したり、髪油等にもなります。

何気なく見ている街路樹や庭木も食べられる果実をつけるイチョウ、イチイ、カヤ、トチ、コブシ、クリ等などの樹木がいっぱいあります。自然はいいですね。鉄やコンクリートは食べられないですからね(笑)。

触感  触れて感じる   やわらかさ                                CIMG2642.JPG                                                                                                             木、コンクリート、石、鉄等に触れたり、座ったりすればやはり木が心地良いでしょう。歩行においても無垢の床材(材種によってもちがいは随分ありますが)と合板や新建材との違いはよくわかります。無垢の床材は冷えが伝わりにくく、温かみがあり、適度にやわらかいので、素足にも心地良く疲れにくいのです。そして、表面には適度の摩擦があり、子供たちやお年寄りの転倒抑制、転倒時の衝撃を吸収し、ほかの材質に比べ怪我が軽減されます。木は体に優しい天然素材です。 

 

木に感謝

簡単ではありますが、以上のように木材には利点が多く、五感に優しいのです。上記以外には青森ひば…蚊を寄せ付けにくい効果や、アトピー薬の原料であり、成分のヒノキチオールは安らぎを与えます。ヒノキや杉…誘眠成分やダニの繁殖を抑える効果もあります。また、木の調湿機能は、一本の木材で一升ビン二本分もの水を吸ったり吐いたりするほどの能力がある。建物を乾燥から防いだり、湿気を取り除き結露を抑えたりすることで、快適空間を造ります。日本は木の文化と言われ、昔から木を活かす技術や伝統があります。国土の約70パーセントが森林です(世界で第2位の森林面積を持つ)。木の良さを知り木の家を建てましょう。