◆〈幽玄な〉味覚のコーヒー

旅人のコーヒーで販売している焙煎豆、そしてお店でドリンク提供しているコーヒーは、〈幽玄な〉コーヒーと称しています。

 

幽玄はもともと禅宗や和歌の概念ですが、高温時の「淡味」から中温そして低温へと液体が変化していくなかで本来の風味が立ち上がってくる当店独自の焙煎豆の味作りによる様子と、雑味をそぎ落としたシンプルで奥深い味作りが、「幽玄」のイメージと重なることから使用しています。
刺激的な成分の多い食生活や、添加物の多い食品摂取、極端な生活習慣やストレス過多な生活をおくっていると、「そのもの本来」の味がわからなくなっていきます。

 

自分達は今はイタリア本国へ戻られてしまったイタリアパン工房のPANEMのパオロさんの石釜パンに、パンが本来感じるはずの粉の味、歯で噛む食感によって何か別のものをプラスするのではない(別の食材を添付するのではない)、パン本来のおいしさを感じることの重要さを学ばせていただきました。

 

それは同時に、自分達の焙煎し、抽出してお客様にご提供しているコーヒー豆に還すことができることでした。

 

極端に刺激的である必要もないし、
生豆のカップテスト用と同じローストである意味もありませんし、
個性的な豆をその個性のあまりに強いまま、お客様に提供することも疑問を感じるようになりました。

 

格好つけて言うなら、時代に流された味作りをする意味はあまりないと考えるようになってきました。

 

それよりも、誰にも「中庸」で「中」である味作りのほうが、自分達の性分に合っていると思ったからです。

 

偏らず、最大多数の最大幸福です。

 

それは、優しくて、刺激的な味成分の少ない、誰にでも飲みやすい、多分カフェイン含有値の低い、幽玄な味です。

 

しかし、健康で偏った味覚・食生活を続けてはいない、

健康的な生活と考え方をしてきたニュートラルでナチュラルな人たちには
恐らく充分なテイストとグレードを備えた、高品質コーヒーだと思います。

 

少なくとも僕は、現在もその究極の行く先を求めて、珈琲豆のローストを行ってきて、10年という時間がやっと見えてきました。

 

何事も極端であること、商業的に先行していることに踊らされるつもりも、全く無く、ただ、自然ナチュラルであることと、普通にうまれついてもってきた味覚がそのままであれば、

 

「美味しい」

 

と感じる味作りこそ重要ではないか、と。
そして、そういう味覚の人たちに喜んでもらえるコーヒーの味を求めて今日も生豆をローストしています。

 

特別に修行しなくても、訓練しなくても、おいしいと感じられるものでいいのではないでしょうかというひとつの立場です。

 

さて、そんなことを考えて…

旅人のコーヒーでお出しし、販売している珈琲豆のセールストークを考えてみます。

 

 

太陽と月の珈琲 の『幽玄な味』の珈琲豆を焙煎しています。

美味しい珈琲豆には〈生豆〉と〈焙煎技術〉と扱う〈職人〉が重要と考えています。

 

1 生豆はスペシャルティコーヒーを使用しています。
市場の流通珈琲の3~4倍の価格の物になっています。
コンテスト品に関してはそれ以上の価格になっています。

 

2 様々な焙煎方法でローストしています。
農作物である珈琲豆は産地・農園・樹種・ロット・年物でロースト条件が変わります。
直火式 半熱風 低温焙煎などを、基本的には長時間焙煎を基本に組み合わせて様々な焼き方をしています。

 

3 抽出直後より時間が経つと焙煎本来の味がしてきます。
高温時の一時的な味覚より、温度が下がって中温から低温になってこそおいしい味覚が感じられるように焙煎しています。
ずっと味を楽しめますように。

 

4 業務用にお遣いいただいている劣化速度の遅い豆。
長時間ローストにより味や風味の劣化を抑えることができます。
個人店でありながら関東近県で多くのお店でご利用いただけている根拠ではないかと自分達では考えています。
常温で豆の状態で一ヶ月程度はOKです。

 

5 家庭用のコーヒーメーカーでおいしく淹れられる。
長時間ローストにより、珈琲の刺激の強い成分・味を少なくするようコントロールしています。
抽出に時間がかかっても、エグミや雑味が少ないため家庭用の機械でも美味しく淹れられます。

 

6 いろいろなロースト法と味作りが出来てこそ職人。
典座経典いうところの淡味を味わうことが出来る珈琲豆です。
抽出直後の高温時に淡く、徐々に膨らんでいく上質な風味と味覚をお楽しみいただける、
 『幽玄な味覚』の珈琲豆です。

 

こんなスタンスで、コーヒー豆のローストを行っています。