2017/11/19のイベント 講演会『チョコレートを飲む文化ーマヤ、メキシコ、メキシコシティ、マニラ、そしてバレンシアへ』

2017/11/19 (日)

講演会『チョコレートを飲む文化ーマヤ、メキシコ、メキシコシティ、マニラ、そしてバレンシアへ』


 秋も深まり紅葉が美しく色づく京都の街、その中でも観光の名所として
名高い銀閣寺近くにて、「チョコレートを飲む文化」と題した講演会が
行われました。

 講師は京都外国語大学教授、京都ラテン文化協会理事の立岩礼子氏。
まずはご自身がスペイン文化にご興味を持たれたきっかけや、
メキシコに留学中のエピソードなどを面白くご紹介して頂きました。

 本題に入るのに合わせ、スペインではカフェ・コン・レチェ
(たっぷりとミルクを入れたコーヒー)と並び一般的な朝食である
ホットチョコレートとチュロス(スペインの棒状や蹄鉄型のドーナツ)が
参加者全員に配られ、「チョコレートを飲む文化」を体験できる
良い導入となりました。



講演会『チョコレートを飲む文化ーマヤ、メキシコ、メキシコシティ、マニラ、そしてバレンシアへ』 講演会『チョコレートを飲む文化ーマヤ、メキシコ、メキシコシティ、マニラ、そしてバレンシアへ』



 立岩先生のお話より抜粋させて頂きますと、チョコレートはマヤ文明以前の
オルメカ文明で既に飲まれており、その原料カカオの学名が
Theo(神の)broma(食べ物)cacaoと呼ばれている事からも想像できるように、
ある種の興奮剤、強壮剤として儀式の生贄や戦士に与えられていたそうです。

 その後、アステカ文明を経てスペインに伝わり、フランスやイギリスなど
ヨーロッパ中に広まる事となりますが、カカオからチョコレートを作るには、
まず丁寧に実を取り、それを発酵させてから中の種を取り出し、さらに
天日干しにしたものをすりつぶしドロドロになったものを何度も壺から壺へ
上から落として泡立てると言った工程を経なければならず、当時はかなり
高級な飲み物だったとか。

  ヨーロッパの王侯貴族の間で流行して行く過程で、チョコレートを
飲む為の専用のカップもまた文化の一つとして発展し、中でも17世紀半ばに
メキシコ副王であったマンセラ侯爵の影響は大きく、チョコレートを
こぼさないように工夫されたマンセリーナと呼ばれる様式を生み出しました。

 また、チョコレートを飲む文化がヨーロッパから世界に広まった証拠に
マニラからもチョコレートカップが出土されており、その中には有田焼で
作られた物もあったりと、当時の国際交流が偲ばれ非常に興味深いものでした。
19世紀になるとチョコレートもやっと庶民の文化となったようで、
バレンシアに残されている当時のタイル画にチョコレートを飲む様子が
記されています。

 このようにチョコレートを飲む文化がマヤ、メキシコシティ、マニラ、
そしてバレンシアへと歴史的に変遷して行った様子を、貴重な資料と共に
お話して頂きました。
講演会の後には参加者から、チョコレートの母国メキシコの現代では
チョコレートの液状と固形の割合は?や、今回のお話しには出てこなかった
アフリカのガーナでのカカオについて?など、熱心な質問も寄せられました。

 近年の日本では、世界各国の高級なチョコレートが何時でも気軽に
味わえますが、そのチョコレートもまた、長い歴史の中で様々な世界との
結び付きから形成されていった文化の一つであると、深く感じました。
まさに「食欲の秋」「文化の秋」に相応しい一日でした。





イベントデータ

講演会『チョコレートを飲む文化ーマヤ、メキシコ、メキシコシティ、マニラ、そしてバレンシアへ』


日程  2017年11月19日  (日)

場所  スペインレストラン Tio PePe
  ( TEL:075-724-3440 )




主催  京都スペイン文化協会



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